ステンレスとは

ステンレス鋼（ステンレス）は、腐食に対する高い耐性を持つ特殊な合金鋼です。主成分である鉄にクロムを加えることで、表面に保護層が形成され、錆びにくくなる特性があります。ステンレスは、その組成や特性に応じていくつかの種類に分類されます。主な種類は以下の通りです。

オーステナイト系ステンレス鋼（SUS304, SUS316、 SUS316L）
最も一般的なステンレス鋼で、優れた耐食性と成形性を持ちます。低温でも強度が高く、溶接性も良好です。台所用品など幅広い用途に使用されます。

フェライト系ステンレス鋼（SUS430）
マルテンサイト系に比べて、強度は低いものの耐食性に優れています。比較的安価で、家庭用の調理器具や建築材料などに使用されます。

マルテンサイト系ステンレス鋼（SUS410, SUS420）
高強度で、耐摩耗性に優れていますが、耐食性は他のステンレス鋼に比べて劣ります。刃物、バルブ部品などの用途に使用されます。

密着のメカニズム（ゴールドの場合）

真空装置内では、成膜金属であるチタンイオン粒子が高エネルギーのプラズマ中で窒素と反応し、窒化チタンを形成します。この粒子は高速で製品表面に衝突して幾層にも堆積していきます。このプロセスにより、密着力の高い膜が形成されます。

ステンレスへのイオンプレーティングの効果

ステンレスへのイオンプレーティングは、機能性と美観を兼ね備えた表面処理技術であり、様々な産業分野での製品性能を大幅に向上させます。

美観の向上

ゴールド、ブラウン、ブラック、ブルー、レインボーなどのメタリックカラーを付与することで、装飾性を高めることができます。これにより、ジュエリーやカトラリーのデザイン性が向上し、高級感が増します。

耐摩耗性の向上

イオンプレーティングにより、ステンレスの表面硬度が増し、摩耗に対する耐久性が向上します。これにより、日常生活で使用する製品、建築資材、機械部品などの寿命が延びます。

耐熱性の向上

他の着色技法では高温下での使用は変色や劣化を避けることができませんが、イオンプレーティングでは高温下でも長期間、初期の性能を維持することができます。これにより、自動車のマフラーなどの排気系部品など、耐熱性が求められる用途での使用が可能になります。

低摩擦性

コーティングにより表面が滑らかになり、摩擦が減少します。その結果、機械部品の動作がスムーズになり、エネルギー消費が削減されます。

金属アレルギーリスクの軽減

チタンは、医療分野で人工骨やインプラントに使用されるほど生体適合性が高い金属です。そのため、医療器具、食器類、アクセサリーなど、肌に直接触れる製品にも安心して使用でき、金属アレルギーのリスクを大幅に軽減します。

ステンレスへのイオンプレーティング加工事例

ステンレスはその優れた特性から、さまざまな産業で広く使用されており、耐久性や美観を重視する場面で特に重宝されています。

業界	製品	効果
自動車産業	マフラーなどの排気系部品	耐摩耗性、耐熱性
ホテル、レストラン	カトラリー、タンブラー、食器、キッチン用品、調理器具など	耐摩耗性、耐熱性、金属アレルギー
建築資材	建物の外装や内装、看板、ネームプレート、手すりなど	耐摩耗性、耐熱性
医療機器	歯科器具、ピンセット、機器部品など	耐摩耗性、金属アレルギー
刃物	包丁、ナイフ、理美容ハサミなど	耐摩耗性、金属アレルギー
アクセサリー	ネックレスチェーン、ピアス、指輪など	耐摩耗性、金属アレルギー
寺社・仏閣	擬宝珠、扉の彫金、花飾りなど	耐摩耗性

ＮＣＣのステンレスへのイオンプレーティング

NCCで行っているイオンプレーティング加工の約8割はステンレス製品です。4種類の異なるサイズの真空装置を使用し、ゴールド、ブラウン、ブラック、ブルー、レインボーの装飾を施しています。
ステンレスやその他の素材に関するイオンプレーティングについて、ご関心やご不明な点、ご要望等がございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせフォームよりお問い合わせください。